2008年05月29日
Caléche - カレーシュ - 加・・・?
Ciao. Spockです。
長い間、更新できずにいましたが、久しぶりの『ネタ帳』です。
なかなか『ネタ』がなかった事と『ラ フェニーチェのチューボーから』を書くだけで手一杯だったせいもあるのですが・・・・
さて今回のネタは、香りについての話ですが、聞いた話によると、嗅覚は他の感覚に比べて、記憶や霊的なものとの繋がりが大きいのだそうです。
実は、かく言うオレも、去年、香りに関するスピリチュアルな体験をしたのですが・・・・それを書き始めると長くなりそうなので、近いうちに『ラ フェニーチェのチューボーから』に書く事にしましょう。
では、さっそく・・・・
先日、カウンターに、いつもの演劇関係者が4人来てくれました。
そのうちの2人は、先日の『戦国オセロー』に出演した役者であり、その話で盛り上がりました。
戦国オセローは、舞台の使い方や笑いの要素の取り入れ方など、良く考えられていたと思うし、何より、3時間の公演を飽きる事無く見せたのは、本当にスゴい事だと思います。
ただ、率直に言わせてもらうなら、後半に『笑い』は要らなかったと思います。
余計な物を削ぎ落とした方が、ストレートに『悲劇』を感じる事ができると思うのですよ。
もっとも、オセロに関しては、ヴェルディの『オテッロ』でしか観た事がないので、オレの意見はあんまりアテになりませんが・・・・
(1959年の『NHKイタリアオペラ』での、マーリオ・デル・モナコのオテッロと、ティート・ゴッビのイヤーゴによる迫真の演技を観てしまうと、他の演奏がつまらなく思えてしまいます。モノクロの映像ですが、DVDで観る事ができます)
そんな話でひとしきり盛り上がった後、どういう経緯からか、全く関係のないフレグランスの話が出てきて・・・・で、なぜかオレにふられてきたのですよ。
「シェフは何か使ってるの?」って・・・・
オレはこういう仕事をしてますから、フレグランスを使う事はないのですが、若い頃(20代の初めの頃)は、休みの日には必ず使っていましたね。
当時一番気に入っていた『オーデコロン エルメス』の一番大きいボトルを買ってきて、風呂上がりにぬりたくってました。
とまぁ、そんな事を話していたのですが・・・・
世界で一番多くの著名な香水が作られているのは、間違いなくフランスでしょう。
おそらくそれには、匂いに対する独自の文化があるからなんでしょうね。
かのナポレオン・ボナパルトが、戦地から妻のジョセフィーヌに送った手紙には、もうすぐ帰るから風呂には入り過ぎるなよ、と書かれていたのだそうですが、今でもフランス人は、各人が独自の体臭を持っているのが当たり前だと思っているので、それを無くしてしまう程頻繁にシャワーを浴びるのをいやがるのだ、と聞きました。
まぁ、それだからこそ、パルファン(香水)の文化が花開いたんでしょうけど・・・・
日本では『お風呂好き』という国民性もあり、いかに体臭を消すか、という方向で考えられていますから、香水の文化というのは成り立たないのかもしれません。
そういう事もあるせいか、男が香水の話をするとヘンな目で見られる事もありますが、案外、深く研究している人がいるんじゃないかと思います。
宇神幸男さんの音楽ミステリー四部作の第一作『神宿る手』では、ギ・ラロッシュのジェ・オゼが小道具として実に巧く使われていますが、J'ai osé(敢えて私はする)という名称が、島村夕子の心情を雄弁に物語っているあたり、本当に感心しました。
かく言うオレも、実は結構パルファンには詳しかったりして・・・
興味を持つと、とことん調べつくすタイプですから、そうやって得た知識と、香港に行った時、みやげに買うために匂いを嗅ぎまくった時の記憶がありますから、ブラインドで銘柄を当てるのは無理ですが、香りの傾向や、自分の好みはハッキリ分かっているんです。
で、この時、自分の好みについて、こう言いました。
「一番好きなのはアマゾン、その次がアルページュかな・・・」
オレが一番好きな香りは、エルメスのアマゾン(Amazone)
甘さを抑えたシトラス調のフローラル・フレッシュの香りがたまらない・・・・
古代ギリシャ神話の女戦士アマゾネスから命名されたと聞きましたが、この香りの明るく快活なイメージとは、何か微妙に違っているように思うのはオレだけでしょうか。
いつだったか、好きな女性のタイプは?、と訊かれて、柄にもなく「エルメスのアマゾンが似合う人」と答えた事がありました(後で思い出して赤面しましたけど)が、実際にアマゾンを仄かに匂わせている女性がいたら・・・・それだけで惹かれそうな気がします。
もう一つ好きなのが、ランヴァンのアルページュ(Arpége)
アマゾンよりも甘くはなやかで、少し動物的(?)な感じのフローラル・アルデヒドの香りですが、これも惹かれる香りです。
アルページュ(分散和音)という名前が、実によく合っていると思いますね。
この黒い球形のボトルと、そこに描かれた母と娘(ジャンヌ・ランヴァンと愛娘のマリー・ブランシュだと言われている)の絵も、実にシャレてますね。
ただ残念なのは、軽さを求める時代の要求なんでしょうか、アマゾンがアマゾン・ライトに、アルページュがエクラ・ダルページュに変わりつつある事ですね。
と、そこで、ふと思い出して、こう言いました。
「もう一つ好きなのがあった・・・・カレーシュ」
カレーシュ(Caléche)は、1961年にエルメスが最初に作った女性用フレグランスで、これもフローラル・アルデヒドの香りですね。
オレの持っているイメージでは、夏のアマゾンに対して、冬のカレーシュというところでしょうか。
ちなみに、カレーシュとは、エルメスのトレードマークである、幌付き四輪馬車の事です。
ふと見ると、みんな不思議そうな顔をしてオレを見ているんですよ。
何かヘンな事を言ったかな、と思いながら考えてみると・・・・オレが「カレーシュ」と言ったのを、みんなは『加齢臭』だと思ったようです。
まぁ、加齢臭が好きだといったら、ヘンな顔をされるのが当たり前だわな。
でも、カレーシュと加齢臭を間違えられたんじゃ、エルメスさんも困るでしょうけどね。
では、また。
Ciao. Arrivederci!!
長い間、更新できずにいましたが、久しぶりの『ネタ帳』です。
なかなか『ネタ』がなかった事と『ラ フェニーチェのチューボーから』を書くだけで手一杯だったせいもあるのですが・・・・
さて今回のネタは、香りについての話ですが、聞いた話によると、嗅覚は他の感覚に比べて、記憶や霊的なものとの繋がりが大きいのだそうです。
実は、かく言うオレも、去年、香りに関するスピリチュアルな体験をしたのですが・・・・それを書き始めると長くなりそうなので、近いうちに『ラ フェニーチェのチューボーから』に書く事にしましょう。
では、さっそく・・・・
先日、カウンターに、いつもの演劇関係者が4人来てくれました。
そのうちの2人は、先日の『戦国オセロー』に出演した役者であり、その話で盛り上がりました。
戦国オセローは、舞台の使い方や笑いの要素の取り入れ方など、良く考えられていたと思うし、何より、3時間の公演を飽きる事無く見せたのは、本当にスゴい事だと思います。
ただ、率直に言わせてもらうなら、後半に『笑い』は要らなかったと思います。
余計な物を削ぎ落とした方が、ストレートに『悲劇』を感じる事ができると思うのですよ。
もっとも、オセロに関しては、ヴェルディの『オテッロ』でしか観た事がないので、オレの意見はあんまりアテになりませんが・・・・
(1959年の『NHKイタリアオペラ』での、マーリオ・デル・モナコのオテッロと、ティート・ゴッビのイヤーゴによる迫真の演技を観てしまうと、他の演奏がつまらなく思えてしまいます。モノクロの映像ですが、DVDで観る事ができます)
そんな話でひとしきり盛り上がった後、どういう経緯からか、全く関係のないフレグランスの話が出てきて・・・・で、なぜかオレにふられてきたのですよ。
「シェフは何か使ってるの?」って・・・・
オレはこういう仕事をしてますから、フレグランスを使う事はないのですが、若い頃(20代の初めの頃)は、休みの日には必ず使っていましたね。
当時一番気に入っていた『オーデコロン エルメス』の一番大きいボトルを買ってきて、風呂上がりにぬりたくってました。
とまぁ、そんな事を話していたのですが・・・・
世界で一番多くの著名な香水が作られているのは、間違いなくフランスでしょう。
おそらくそれには、匂いに対する独自の文化があるからなんでしょうね。
かのナポレオン・ボナパルトが、戦地から妻のジョセフィーヌに送った手紙には、もうすぐ帰るから風呂には入り過ぎるなよ、と書かれていたのだそうですが、今でもフランス人は、各人が独自の体臭を持っているのが当たり前だと思っているので、それを無くしてしまう程頻繁にシャワーを浴びるのをいやがるのだ、と聞きました。
まぁ、それだからこそ、パルファン(香水)の文化が花開いたんでしょうけど・・・・
日本では『お風呂好き』という国民性もあり、いかに体臭を消すか、という方向で考えられていますから、香水の文化というのは成り立たないのかもしれません。
そういう事もあるせいか、男が香水の話をするとヘンな目で見られる事もありますが、案外、深く研究している人がいるんじゃないかと思います。
宇神幸男さんの音楽ミステリー四部作の第一作『神宿る手』では、ギ・ラロッシュのジェ・オゼが小道具として実に巧く使われていますが、J'ai osé(敢えて私はする)という名称が、島村夕子の心情を雄弁に物語っているあたり、本当に感心しました。
かく言うオレも、実は結構パルファンには詳しかったりして・・・
興味を持つと、とことん調べつくすタイプですから、そうやって得た知識と、香港に行った時、みやげに買うために匂いを嗅ぎまくった時の記憶がありますから、ブラインドで銘柄を当てるのは無理ですが、香りの傾向や、自分の好みはハッキリ分かっているんです。
で、この時、自分の好みについて、こう言いました。
「一番好きなのはアマゾン、その次がアルページュかな・・・」
オレが一番好きな香りは、エルメスのアマゾン(Amazone)
甘さを抑えたシトラス調のフローラル・フレッシュの香りがたまらない・・・・
古代ギリシャ神話の女戦士アマゾネスから命名されたと聞きましたが、この香りの明るく快活なイメージとは、何か微妙に違っているように思うのはオレだけでしょうか。
いつだったか、好きな女性のタイプは?、と訊かれて、柄にもなく「エルメスのアマゾンが似合う人」と答えた事がありました(後で思い出して赤面しましたけど)が、実際にアマゾンを仄かに匂わせている女性がいたら・・・・それだけで惹かれそうな気がします。
もう一つ好きなのが、ランヴァンのアルページュ(Arpége)
アマゾンよりも甘くはなやかで、少し動物的(?)な感じのフローラル・アルデヒドの香りですが、これも惹かれる香りです。
アルページュ(分散和音)という名前が、実によく合っていると思いますね。
この黒い球形のボトルと、そこに描かれた母と娘(ジャンヌ・ランヴァンと愛娘のマリー・ブランシュだと言われている)の絵も、実にシャレてますね。
ただ残念なのは、軽さを求める時代の要求なんでしょうか、アマゾンがアマゾン・ライトに、アルページュがエクラ・ダルページュに変わりつつある事ですね。
と、そこで、ふと思い出して、こう言いました。
「もう一つ好きなのがあった・・・・カレーシュ」
カレーシュ(Caléche)は、1961年にエルメスが最初に作った女性用フレグランスで、これもフローラル・アルデヒドの香りですね。
オレの持っているイメージでは、夏のアマゾンに対して、冬のカレーシュというところでしょうか。
ちなみに、カレーシュとは、エルメスのトレードマークである、幌付き四輪馬車の事です。
ふと見ると、みんな不思議そうな顔をしてオレを見ているんですよ。
何かヘンな事を言ったかな、と思いながら考えてみると・・・・オレが「カレーシュ」と言ったのを、みんなは『加齢臭』だと思ったようです。
まぁ、加齢臭が好きだといったら、ヘンな顔をされるのが当たり前だわな。
でも、カレーシュと加齢臭を間違えられたんじゃ、エルメスさんも困るでしょうけどね。
では、また。
Ciao. Arrivederci!!
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Posted by spock at 10:47│Comments(5)
この記事へのコメント
ワタクシの所属するバンド、加齢衆といいます・・・。
Posted by ネコ先生 at 2008年05月29日 11:53
加齢衆ですか・・・・
でも、何か逆にカッコいいような・・・・
でも、何か逆にカッコいいような・・・・
Posted by spock at 2008年05月29日 14:01
こんにちは。
私はヨーロッパ人ほど体臭はキツク無い(と思っている)ので、オードトワレぐらいの穏やかなのが好きです(^^)
今のお気に入りはルチアーノソプラーニのジャストフリーです。
私はヨーロッパ人ほど体臭はキツク無い(と思っている)ので、オードトワレぐらいの穏やかなのが好きです(^^)
今のお気に入りはルチアーノソプラーニのジャストフリーです。
Posted by o-chan at 2008年06月19日 18:12
こんにちは。
確かに、日本人にはパルファンは強過ぎるようですね。
オレが今使うなら、文字通り『ケルンの水』である、4711あたりがいいかなと思います。(値段も安いし・・・・)
ウチのパンフレットにも書いているのですが、ある料理人の書いた文に、フランス料理を香水に、イタリア料理をオーデコロンに例えてあって、慧眼だなぁ、と感心した事がありますが、だから日本人にイタリア料理が合う、と言ったらこじつけでしょうか。
確かに、日本人にはパルファンは強過ぎるようですね。
オレが今使うなら、文字通り『ケルンの水』である、4711あたりがいいかなと思います。(値段も安いし・・・・)
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Posted by spock at 2008年06月20日 13:16
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Posted by EugeneWen at 2024年04月28日 07:12